導電性フッ素樹脂(TRCシリーズ)
導電性とクリーン性という相反する性能を特殊技術で実現しました
絶縁性が高いフッ素樹脂に導電性を付与し、かつ、フッ素樹脂の特徴であるクリーン性能や耐薬品性能も変わらない製品を開発。
特にダイキンファインテックが得意とするPCTFE樹脂に対しては、世界で初めて安定した導電性付与を実現しました。
今まで実現不可能と思われていた静電気問題をCNTフッ素樹脂(TRCシリーズ)にて解決いたします。
TRC(TOHO Resistivity Control)シリーズとは
特長
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- 安定した電気特性
- CNT(カーボンナノチューブ)をフッ素樹脂に均一分散させることで、体積抵抗率のバラつきが少ない安定した導電性能を実現。
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- 低金属溶出
- 極少量添加(1%以下)で導電性能を発揮するため、従来の導電性フッ素樹脂材料で課題の1つである金属溶出問題を解決。
CNT無添加のフッ素樹脂と同等の金属溶出レベルを実現する事で、極めて高い清浄度が求められる用途にも対応。 -
- 高耐薬品性
- フッ素樹脂の特徴である耐薬品性を維持する事で、強酸や強アルカリといった厳しい使用環境にも対応。
ラインナップ
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- トーフロン TRC-Cシリーズ【PCTFE樹脂】
PCTFE樹脂に初めて機能性を付与(帯電防止・導電性)
部品設計に関わる機械的特性の低下無し
金属溶出は0.1ppb以下(金属系17元素) -
- トーフロン TRC-Mシリーズ【変性PTFE樹脂(mPTFE樹脂)】
半導体・薬供関連で実績の多い変性PTFEに導電性を付与
導電材添加による溶接強度の低下無し
ナチュラルの変性PTFEと変わらない耐薬品性を実現
金属溶出は0.2ppb以下 (金属系17元素) -
- トーフロン TRC-Pシリーズ【PTFE樹脂】
- 従来の導電性PTFE樹脂よりも低体積抵抗率を実現
PTFEが備える優れた耐薬品性と低金属溶出(クリーン性)を持続(金属系17元素)
製品紹介
各種性能評価
導電材添加率別 体積抵抗率推移
金属溶出
測定元素 | |||||||||
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Al | Ca | Fe | Mg | Na | Ni | Zn | |||
PCTFE | ナチュラル | 7日間 (168時間) |
0.04 | 0.04 | 0.13 | 0.01 | <0.01 | <0.01 | <0.01 |
PCTFE | TRC-C100 (100~103Ωcm) |
7日間 (168時間) |
0.02 | 0.03 | 0.08 | 0.01 | 0.03 | 0.03 | 0.02 |
変性PTFE | TRC-M110 (101~104Ωcm) |
7日間 (168時間) |
0.14 | 0.06 | 0.08 | 0.04 | 0.01 | <0.01 | <0.01 |
【比較】 PFA/カーボンファイバー系 帯電防止・導電性材料 |
7日間 (168時間) |
2.10 | 2.10 | 2.60 | 0.22 | 0.66 | <0.01 | <0.01 | |
ダイキンファインテック管理基準 | 0.50 | 5.00 | 5.00 | 0.20 | 0.50 | 5.00 | 0.50 |
検出限界以下 K < 0.05 / Ti < 0.04 / Cr,Cu < 0.03 / Cd,Li < 0.01 / Co,Mn < 0.005 / Ag < 0.003 / Pb < 0.002
耐薬性
有機系 | 酸系 | 塩基系 | ||||||||
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IPA | シンナー | 塩酸 (37%) |
SC-2※1 | リン酸 | SPM※2 | SC-1※3 | アンモニア (28%) |
|||
PCTFE | TRC-C100 (100~103Ωcm) |
7日後 (168時間) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
変性PTFE | TRC-M110 (101~104Ωcm) |
7日後 (168時間) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
【比較】 PFA/カーボンファイバー系 帯電防止・導電性材料 |
7日後 (168時間) |
〇 | △ | △ | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | |
【比較】 PTFE/グラファイト系 帯電防止・導電性材料 |
7日後 (168時間) |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
【比較】 PTFE/カーボンファイバー系 帯電防止・導電性材料 |
7日後 (168時間) |
〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
※1 HCl:H2O2:DIW=1:1:5
※2 H2SO4:H2O2=3:2
※3 NH3:H2O2:DIW=1:1:5
想定使用用途
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- 回転機構部、屈曲などの駆動部材
- 「気体」「液体」の駆動による摩擦帯電が発生する部品
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- 気液流体分
- 流速を落とさないと帯電してしまう配管部位、液体が帯電してしまうと均一塗布できないノズル部位
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- 金属代替
- 従来は金属で対応していたが、よりクリーン度が求められ樹脂化が必要な部位